日本百観音を構成する秩父三十四箇所。
秩父札所全部を一巡すると総距離約100キロにもなり、車を使っても2-3日。
徒歩では約一週間はかかる大行程となる。
しかし、秩父の豊かな自然に触れながら江戸時代以前より続く札所を巡ることで日頃の喧騒を忘れ心が癒される旅になるはず。
そこで今回は秩父三十四箇所巡りをする上で効率的な回り方や札所のみどころについてご紹介。
秩父三十四箇所巡り!徒歩や車で効率的に回るための地図と札所一覧の見どころガイドマップ
日本百観音を構成する秩父三十四箇所。その名の通り、埼玉県秩父市全域に渡り各札所がある。
そのため、まずは秩父市を目指すことが第一歩だ。
秩父市は埼玉県の南西、山梨県の県境あたりに位置する。
三十四箇所以外にも秩父神社、三峯神社など神社・仏閣好きにはオススメしたい。
他にも温泉、芝桜が見られる羊山公園、ライン下りなど観光スポットは沢山ある。
農園も多くあり、場所によりイチゴ狩りやブドウ狩りも楽しめる。
わらじカツ丼や、蕎麦も非常に美味しいので三十四箇所を巡りながら是非堪能していただきたい。
ちなみに筆者は相方と蕎麦、鰻、わらじカツ、豚丼と食べ歩いた。全て美味しかったので、秩父は食事にも期待できる。
秩父三十四箇所は西国や坂東とは違い、県をまたがずに秩父市内だけで完結しているので、とても廻りやすい。
まわる順序に決まりはなく、どこからでも都合のよいように打って行けば何日かで三十四ヵ所を満願することが出来る。
乗用車だと二〜三日、徒歩だと約六日で回ることが可能だ。
秩父札所には大きな寺や大伽藍はなく、小さな観音堂が多い。中には民家そのままに本尊をお祀りするなど
素朴なたたずまいが秩父霊場の良き特徴となっている。
巡礼の手段は?
秩父への行き方
・電車の場合
無難に秩父鉄道の秩父駅を目指そう。西武秩父駅や御花畑駅なんてのもあるが、まずは秩父駅がベストだ。やはり観光地として整備されているし、レンタカーもレンタサイクルも整っている。近隣にホテルもあるので文句なしだ。秩父駅の周辺には食事も温泉も土産物屋もしっかり揃ってるぞ。土産物屋も秩父ならではの物ばかりなので、秩父土産を買うには打って付けだ。
ちなみに東京駅からだと埼玉県熊谷駅まで新幹線を使えば40分程度。熊谷駅から秩父鉄道に乗り換えて1時間20分。なので合計2時間程度の電車移動となる。
新幹線を使わなくとも熊谷駅まで1時間10分程度なので、特に急ぎで無ければ普通列車でも問題ない。
・車の場合
高速道路で皆野長瀞IC、もしくは皆野大塚ICで降りて秩父方面へ。
飯能方面から下道で行くルートもあるが、結構な山道なので十分注意しよう。正直山道を行くくらいなら関越道から上記ICで降りた方が安心だと思う。
皆野寄居有料道路の料金は普通車450円、中型は530円。
新見沼大橋有料道路は普通車150円。
秩父へ入る方向によりこれらの有料道路を通過する場合もあるので参考にして欲しい。
秩父市内は道路もそんなに狭くないので走りやすい。しかし、霊場へは少し外れた道を行かなくてはならない時もあるし、細くなったり対向車が見にくい道も存在する。
あまり大きな車で行かず、せめてミニバンくらいにしておいたほうが無難だ。
札所めぐりは、1度で三十四ヶ所すべてをまわる必要はなく、順番にこだわる必要もないため自分のペースで行って問題なし。
もちろん、バスやタクシーを利用してもいい。
秩父三十四箇所巡礼の所要時間
徒歩:一週間
自転車:4-5日
車:2-3日
秩父三十四箇所の距離
秩父札所をすべてまわる場合、約100キロの行程になる。
西国や坂東の様に他県にまたがるものではないが、後半の札所は山深いところにあるので、無理をせず自分に合った手段を選ぼう。
秩父三十四箇所を徒歩でまわる
徒歩の場合、成人男性で5〜6日ほど。一週間はかかると見た方が良い。
秩父三十四箇所を回る方法としては1番時間がかかる方法だ。体力はもちろんのこと、宿泊費や食事など費用面も馬鹿にならない。しかしながら巡礼の醍醐味は徒歩という声も少なくない。実際に秩父巡礼ルートには徒歩ルートの看板も設置されている。車でも看板は発見できるが、やはり徒歩での巡礼は一味違う。体力に自信があれば是非チャレンジしてほしい。
秩父三十四箇所を自転車でまわる
秩父市内にはレンタサイクルのステーションがいくつかある。1番から30番までは秩父市内なので回りやすいが31,32、34番は秩父山中にあるのでロードバイクかマウンテンバイクでもない限り厳しい。
4〜5日はかかる。
徒歩より時間はかからないと思うが、普段からロードバイクなどに乗っているような人でないと正直厳しいところだ。それなら徒歩での巡礼をして、体力や都合によりタクシーやバスを使うほうが身動きは取りやすい。
しかし、秩父の山中を自転車で爽快に走ると気持ちがよさそうだ。
秩父三十四箇所を車でまわる場合と駐車場について
いちばん無難で確実な手段。マイカーなら2、3日で全札所をまわることが出来る。
また、秩父札所にはすべて無料駐車場があるので参拝しやすい。
車でまわる場合の注意点
第9番の明星山 明智寺は敷地内に車を入れて停める事になる。(お寺の方に確認済)敷地はそこまで広くないので、何台も停めることはできない。
第21番の要光山 観音寺は駐車場が少し狭い。交通量もそれなりにあるため停める時に頭から入れない方が出やすい。
駐車場が少し離れた場所にある事もあるので、詳細は各札所のページへ。
山中を登ることになるので、狭い道や急な坂道も通る場合がある。冬季は雪も降るのでスタッドレスを着用して行った方が間違いない。
徒歩でも自転車でも車でも共通しているが、GoogleMAPが結構使いやすい。
札所には近隣の札所までの方向や距離のある看板が設置されているが、徒歩でしか通れない道を指し示している場合もある。GoogleMAPで予めルートを組んでおくとかなり回りやすい。
秩父巡礼におすすめ移動コース
1番からスタートし、2→3→4→5→10→6→7→8→9→11
その後彩甲斐街道沿いに18→12→26→27→28→29と回るとなるべく左手に札所が出てくるように回ることが出来る。
札所は夕方までの営業時間なので夜に行くような人はいないと思うが、夜間に回る事はオススメしない。街灯も少なくかなり危険だし迷惑になるので絶対にしないように。
秩父三十四箇所を効率的にまわるための地図
秩父市内と言っても範囲はそれなりに広いので近隣ごとにマップにまとめたので活用していただければ嬉しい。
秩父三十四箇所の地図その1 第一番~第十一番
秩父三十四箇所の地図 第一番~第十一番(Google Map)
秩父市郊外東部からスタートするのが秩父三十四箇所。田園風景の中で山道を歩きながら武甲山を眺めることが出来る。車の往来はそれほど多くないため、のんびりと歩きながら札所めぐりをしていこう。
秩父三十四箇所の地図その2 第十二番~第二十二番
秩父三十四箇所の地図 第十二番~第十三番(Google Map)
12番(野坂寺)から19番(龍石寺)までは秩父市街。
秩父駅から近いので最初のルートをこちらに設定しても効率的。
周辺には秩父神社や今宮神社などもある他、歴史を感じさせる町並みも多いため歩いているだけでも楽しい。
そして20番岩之上堂から22番童子堂までは再び郊外に入る。
秩父三十四箇所の地図その3 第二十三番~第三十四番
秩父三十四箇所の地図 第二十三番~第三十四番(Google Map)
終盤の秩父札所からは札所間の距離が長く峠を越えることも多い。札所自体も山門から険しく長い階段を上ったり、奥の院までさらに険しい山道が続く札所もあるなど、一気に難易度が跳ね上がる。
だが、山登りと同じで道のりが険しいほど達成の喜びは大きなものになる。
巡礼に必要なもの
特に必要なものはない。よほど汚い格好でもない限りは普段着のままで問題なし。
いちおう以下のアイテムが正式な持ち物となっているが無くても問題なし。
巡礼用品は1番四萬部寺、3番慈眼寺、8番神門寺の納経所で販売している。
とりあえず1番札所でひととおり購入可能なので手ぶらでも問題なし。
金剛杖 (1500円~2000円程度)
杖は弘法大師の分身とされている杖。
納札 (200枚100円程度)
願い事などを記入して、札所で観音堂に納める紙の札。
御朱印帳( 納経帳 )
御朱印を押してもらうための綴り本。安いものだと1500円程度から買える。なお、一般のノートやスタンプ帳では受け付けてもらえないのであしからず。
なお、秩父三十四箇所では、御朱印帳への書き入れ朱印料は札所ごとに一律で300円となっている。
納経はほかに、笈摺(おいずる)とよばれる半袖の白衣や掛け軸にも書いてもらえる。
その場合、書き入れ朱印は札所ごとに各500円となる。
なお、すべての札所をめぐってご朱印をいただくと、その巡礼自身の来世への旅路を導くといわれる。
白衣
札所めぐりの正装。上着2500円・笈摺2000円程度
輪袈裟
僧侶が着用する袈裟を簡略化したもの。1500円程度。
経本
各札所で参拝の時に読み上げる。般若心経や各札所のご詠歌などが書かれている。 500円程度
山谷袋
巡礼用品を入れるバッグ。1000円程度
持鈴
道中の魔よけと供養を兼ねた鈴。1000円程度
菅笠
日よけと雨傘代わりに使うもの。1500円程度
数珠
数珠は宗派によって形や持ち方も異なるが、観音霊場では特にこれという決まりはないので自分好みの数珠で問題なし。
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線香・ろうそく
各札所では参拝の折に線香とお灯明をあげるが、
そのつど札所で買っても問題ないかと。
巡礼のやり方,各寺での参拝方法
「必ずこの通りにしなければならない」という絶対のルールはない。が、以下の手順が参拝する際の正式なやり方となっている。
1 門前、山門、退出時に一礼
寺に入る前に、山門(仁王門)で一度おじぎをしてから境内に入る。
寺を退出する際にも一礼。
2 手水場でお清め
手水場に立ち寄り、ひしゃくで手や口をすすいでお清めをする。ない場合や禁止されている場合は省略。
3 鐘を撞く
鐘を撞いてもよいという寺院のみ。
4 観音堂へ参拝(納札・灯明・線香)
納め札を納札箱に納める。
灯明台や線香立があれば、ろうそくや線香をあげ合掌する。
5 観音堂で読経
経本を見ながらお経を音読。
1 開経偈(かいきょうげ)
2 般若心経
3 延命十句観音経
4 各札所ごとのご本尊真言
5 各札所ごとのご詠歌
6 回向文
を順に声に出して詠んでいく。
が、正直やってる人を見たことがないし個人的にはカジュアルに参拝しても良いと思っているので読経はしなくていいと思う
6 その他の境内の諸堂へ参拝
境内に不動堂や地蔵堂がある場合はそちらへも参拝。読経は省略していい。
7 納経所へでご朱印を書いていただく。
お寺の拝観料はいくら?
秩父三十四箇所では拝観料が必要な札所は存在しない。
そのため、見学するだけなら無料で出来る。
だが、お寺の維持管理には金がかかるので参拝記念もかねて御朱印を書いてもらいお布施するのが良いかと。
御朱印をいただくにあたって
秩父三十四箇所では取り決めにより料金は一律同じとなっている。
御朱印(書き入れ)300円、掛け軸500円、笈摺500円。御朱印のみの場合は200円となっている。
御朱印の受け付け時間は各寺とも
3月~10月は8時~17時、1月~2月は8時~16時
(いずれも昼休憩の12時~12時30分を除く)。
秩父三十四箇所の御朱印帳
秩父三十四箇所専用の御朱印帳というものは無いのでお気に入りの御朱印帳で問題ないが、第一番札所の四萬部寺で買い揃えると効率的だ。
また秩父の各札所では御朱印帳(¥1500程度)や各種御守りなどを取り揃えているところも多い。
納経所について
秩父三十四箇所は活発な地域なので特に迷うことなく御朱印を書いていただけるが、一部は住職が居ない(無住)寺もあるので注意。その場合は別のお寺で代わりに記入してもらうことになる。
秩父札所で納経所のない札所一覧
第二番 真福寺(光明寺で記入)
第五番 御歌堂(長興寺で記入)
上記2つは無住なので御朱印は括弧内の寺へ。
下記は時期によって注意が必要。
第二十八番 橋立堂
納経所は4月1日~11月末日のみ。
12月1日~3月末日まで札所27番大渕寺が代行している。
第三十四番 水潜寺
冬期で閉まっている場合があるので、その際は大通院へ。
秩父三十四箇所の札所一覧と見どころ
第一番 誦経山 四萬部寺
個別記事「秩父三十四箇所の第1番札所 誦経山 四萬部寺の御朱印,みどころは県文化財指定の本堂」
第二番 大棚山 真福寺
個別記事「秩父三十四箇所の第2番札所 大棚山 真福寺の御朱印,みどころは観音堂の龍の彫刻」
第三番 岩本山 常泉寺
個別記事「秩父三十四箇所の第3番札所 岩本山 常泉寺の御朱印,みどころは観音堂の龍の彫刻」
第四番 高谷山 金昌寺
個別記事「秩父三十四箇所の第4番札所 高谷山 金昌寺の御朱印,みどころは仁王門の大わらじと1300体の石仏群」
第五番 小川山 語歌堂
個別記事「秩父三十四箇所の第5番札所 小川山 語歌堂の御朱印,みどころは准胝観世音菩薩が祀られた観音堂。無住なので御朱印は長興寺へ」
第六番 向陽山 卜雲寺
個別記事「秩父三十四箇所の第6番札所 向陽山卜雲寺の御朱印,武甲山が一望できるのがみどころ」
第七番 青苔山 法長寺
個別記事「秩父三十四箇所の第7番札所 青苔山 法長寺の御朱印,みどころは平賀源内が設計した本堂」
第八番 清泰山 西善寺
個別記事「秩父三十四箇所の第8番札所 清泰山 西善寺の御朱印,みどころは苔に包まれたコミネカエデ」
第九番 明星山 明智寺
個別記事「秩父三十四箇所の第9番札所 明星山 明智寺の御朱印,みどころは六角形の美しい観音堂」
第十番 万松山 大慈寺
個別記事「「心が叫びたがってるんだ。」の聖地,秩父三十四箇所の第10番札所,万松山 大慈寺」
第十一番 南石山 常楽寺
個別記事「秩父三十四箇所の第11番札所 南石山 常楽寺の御朱印,みどころは行基作の十一面観世音菩薩」
第十二番 仏道山 野坂寺
個別記事「秩父三十四箇所の第12番札所 仏道山 野坂寺のみどころは山門内にある無数の仏像」
第十三番 旗下山 慈眼寺
個別記事「秩父三十四箇所の第13番札所 旗下山 慈眼寺のみどころは観音堂」
第十四番 長岳山 今宮坊
個別記事「秩父三十四箇所の第14番札所 長岳山 今宮坊のみどころは修験道の歴史を残す観音堂」
第十五番 母巣山 少林寺
個別記事「秩父三十四箇所の第15番札所 母素山 少林寺のみどころは洋風式の本堂」
第十六番 無量山 西光寺
個別記事「秩父三十四箇所の第16番札所 無量山 西光寺のみどころは四国八十八ヶ所の諸仏を安置する回廊堂」
第十七番 実正山 定林寺
個別記事「秩父三十四箇所の第17番札所 実正山 定林寺のみどころは百観音の梵鐘」
第十八番 白道山 神門寺
個別記事「秩父三十四箇所の第18番札所 白道山 神門寺のみどころは秩父の名工による観音堂」
第十九番 飛淵山 龍石寺
個別記事「19歳と33歳女性の厄除け寺,秩父三十四箇所第19番札所 飛淵山 龍石寺。」
第二十番 法王山 岩之上堂
個別記事「秩父三十四箇所の第20番札所 法王山 岩之上堂のみどころは緑に囲まれた観音堂」
第二十一番 要光山 観音寺
個別記事「平将門が戦勝祈願をした秩父三十四箇所の第21番札所 要光山 観音寺」
第二十二番 華台山 童子堂
個別記事「秩父三十四箇所の第22番札所 華台山 童子堂みどころは癖の強い仁王像」
第二十三番 松風山 音楽寺
個別記事「ミュージシャンがヒット祈願に訪れる秩父三十四箇所の第23番 松風山 音楽寺」
第二十四番 光智山 法泉寺
個別記事「秩父三十四箇所第24番札所 光智山 法泉寺は観音堂と山門が一体になっているのが特徴」
第二十五番 岩谷山 久昌寺
個別記事「秩父三十四箇所第25番札所 岩谷山 久晶寺,御朱印だけでなく御手判も忘れずに貰おう」
第二十六番 万松山 円融寺
個別記事「秩父三十四箇所第26番札所 万松山 円融寺のみどころは懸崖造の岩井堂」
第二十七番 竜河山 大淵寺
個別記事「秩父三十四箇所の第27番札所 龍河山 大淵寺のみどころは巨大な護国観音」
第二十八番 石龍山 橋立堂
個別記事「秩父三十四箇所の第28番札所 石龍山 橋立堂のみどころは鎌倉時代作の馬頭観世音」
第二十九番 笹戸山 長泉院
個別記事「秩父三十四箇所の第29番札所 笹戸山 長泉院のみどころは四季の花が彩る境内」
第三十番 瑞龍山 法雲寺
個別記事「秩父三十四箇所第30番札所 瑞龍山 法雲寺のみどころは花と緑に包まれた境内」
第三十一番 鷲窟山 観音院
個別記事「秩父三十四箇所第31番札所 鷲窟山 観音院のみどころは弘法大師が一夜で彫った爪彫りの磨崖仏」
第三十二番 般若山 法性寺
個別記事「秩父三十四箇所第32番札所 般若山 宝性寺のみどころは秩父札所唯一の鐘楼門と奥の院」
第三十三番 延命山 菊水寺
個別記事「秩父三十四箇所第33番札所 延命山 菊水寺のみどころは土間づくりの観音堂