秩父 第25番札所 久晶寺,御朱印以外に御手判も忘れず

秩父三十四箇所の第25番札所 岩谷山 久晶寺(きゅうしょうじ)。鬼女伝説が残されている本寺だが、ここでは御朱印だけでなく御手判も忘れずに貰いたい。

御手判とは十三権者のひとりである性空上人が閻魔大王から授かった石造りの手形石のこと。 秩父札所ではもちろん、西国、坂東にもないここだけの寺宝である。その 御手判から刷った御札を頂くことが出来る。

秩父 第25番札所 久晶寺,御朱印以外に御手判も忘れず

岩谷山 久昌寺は埼玉県秩父市にある曹洞宗の寺で、秩父三十四観音霊場の第25番札所だ。
埼玉県秩父市久那2215に位置する。
本尊は聖観世音菩薩だ。
御詠歌は「水上は いづくなるらん 岩谷堂 朝日もくなく 夕日かがやく」である。

秩父 第25番札所 久昌寺へのアクセス

住所:埼玉県秩父市久那2315
最寄駅:秩父鉄道浦山口駅
徒歩:約30分

前の札所「法泉寺」 || 次の札所「円融寺

岩谷山 久昌寺のみどころ

山門

朱塗りの山門には真っ赤な体をした仁王像が建っている。

仁王像

筋骨隆々とした立派な仁王像は、寺に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神だ。

仁王像をしばし鑑賞して山門をくぐると、すぐ先手に観音堂が見える。

観音堂

観音堂は三間四面で、堂内の宮殿形の厨子の中に本尊が納められている。
本尊は像高65cmほどの聖観世音立像一木造り、室町時代の作だ。

岩谷山 久昌寺は御手判寺とも呼ばれている。
播州書写山の性空上人が、秩父に巡拝した際、閻魔大王から贈られた石の手判を久昌寺に残したと言い伝えられているのだ。

この伝説から、御手判寺という通称が付いた。
御朱印をもらう際、希望すれば、御手判の刷り物も授与してもらえる。
御手判は、言い伝えが残る閻魔大王から授かった御手判石を版刷りしたものだ。
あの世へ無事に行ける通行手形として、無事に天に召されるようにと人気がある。

地蔵尊

かすれていて見づらいのだが地蔵尊と書いてある。中にお地蔵様が納められているのだろうと思って覗いてみたのだが、

まさかのホラー展開。これは久昌寺に伝わる鬼女伝説(後述),その鬼女を象ったものに違いない。

弁天池

岩谷山 久昌寺にはもう1つの見どころがある。
それは、観音堂の裏手に広がる大きな弁天池だ。
春にはカタクリ、夏には蓮の花が美しく咲き、弁天池から眺める武甲山の風景は絶景だ。

池を透して見る観音堂の姿も美しい。
弁天池には観音堂とは別に、竹林に囲まれる形で弁天堂が建っている。
弁天様は白龍王弁財天と呼ばれており、弁才、智慧、延命、幸福を司どる弁財天だ。
ご利益を得たいと弁財天に手を合わせる巡礼者も多い。

本堂

御朱印はこの隣にある納経所で書いて頂ける。

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岩谷山 久昌寺の歴史

岩谷山 久昌寺が起こった時期は明らかではないが、次のような言い伝えが残されている。
その昔、村には鬼女がおり、さまざまな悪行を積み重ねた挙句、家族や村人から追い出されたと言う。
追い出された鬼女は、現在寺がある久那の地の岩屋で一人暮らしを始めたが、その後、一人の女の子を産んだと言うのだ。
だが、これまでの悪行が祟ったのか、女の子がまだ15歳の子供であるときに、鬼女は命を落としてしまった。
残された女の子は鬼と称された母親とは異なり、美しい心の持ち主だったと言う。
娘はこれまでの母親の罪を聞いて大変に悲しみ、あの世で母親が苦しまないようにと、村人に協力を依頼して、観音堂を建立し、観音様を安置したと言うのだ。
これが岩谷山 久昌寺の起こりだと言い伝えられている。
この観音像は室町時代の作と伝えられているので、観音像が堂と同じ時期に造られたとすれば、岩谷山 久昌寺も室町時代から続く古刹と考えられよう。
岩谷山 久昌寺を語るうえでは、閻魔大王との伝説も外せない。
その昔、西国札所27番にあたる書写山圓教寺を開いた性空上人が従者を従えて、秩父札所巡りに訪れたと言う。
その際、旅の夢枕で閻魔大王が出てきた。
そして、石の通行手形を授けられたと言うのだ。
この手形は御手判(おてはん)と呼ばれ、御手判を携えていると、天国か地獄かの審判が下る、閻魔大王の裁きも無事に通過できると信じられている。
御手判を持っていれば、この世の罪が許されるかは定かではないが、札所を巡礼するという功徳を積んだという点で免責されるのかもしれない。
岩谷山 久昌寺の起こりが、前世で悪行を行った鬼女が成仏できるようにと起こされたものであれば、つながるところもある。
ちょっとした悪行を積んでしまったという人は、御手判寺を訪れ、御手判を授かるのを契機に改心されることをおすすめしたい。
悪いことをしたと考える人が訪れる寺だからこそ、鬼の形相でにらむ仁王像の門をくぐれるかどうか、試されているのかもしれない。

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