秩父 第26番札所 円融寺のみどころは懸崖造の岩井堂

秩父三十四箇所第26番札所 万松山 円融寺のみどころは懸崖造の岩井堂(お堂)
武甲山の採石場ちかくの尾根上の岩場に建てられており、江戸中期の優れた建築。秩父の秘境にある聖地といった感じがする場所だ。

秩父 第26番札所 円融寺のみどころは懸崖造の岩井堂

万松山 円融寺は埼玉県秩父市にある臨済宗建長寺派の寺で、秩父三十四観音霊場の第26番札所だ。
埼玉県秩父市下影森348に位置する。
本尊は聖観世音菩薩だ。
御詠歌は「尋ね入り むすぶ清水の 岩井堂 心の垢を すすがぬはなし」である。

万松山 円融寺へのアクセス

住所: 埼玉県秩父市下影森348
最寄駅: 影森駅
徒歩:約10分
注意事項:現在工事中

前の札所「久晶寺」 || 次の札所「大淵寺

万松山 円融寺のみどころ

2021年現在の円融寺は修復工事中でした。

本尊を祀る観音堂は御詠歌にも登場するように岩井堂と呼ばれており、26番札所は万松山 円融寺ではなく、岩井堂の名で通っていることもあるので注意されたい。

仮本堂(2021年撮影):ここが本堂なの?マジで?

岩井堂は御詠歌にもあるように、京都の清水の舞台を思わせる造りになっているのが見どころである。
万松山 円融寺の観音堂、すなわち、岩井堂に行くには、実は円融寺から30分以上かかるので、体力に余裕があるときにチャレンジしたい。

開けてみましょう

まずは、万松山 円融寺の本堂を参拝しよう。
戒壇には十一面観音像、毘沙門天像をはじめ、高さ1.2mの衣の下に鎧をつけた軍身姿の勝軍地蔵菩薩立像などが納められている。
聖観世音菩薩のご本尊が納められる岩井堂へと行くには、円融寺の本堂の納経所のある場所から、山伝いに道を歩き、昭和電工の工場の敷地内を通り、琴平神社の石碑の脇を進んでいく。

マジかよ

すると、険しい山道のような石段が見えてくる。
昔話に登場するような苔むした急な石段を300段余り登らなくてはならない。
どんなに頑張っても、登りきるまで30分はかかるだろう。
整備されていないので、足元に気を付けながらゆっくりと登っていこう。

登りきれれば、豪快な舞台造の岩井堂が待っている。
これが江戸中期の建築と言われる舞台造りの観音堂で、目の前に武甲山が迫る尾根上の岩場に、京都の清水寺の舞台を模した形で建てられたお堂である。
京都の清水寺から見える優雅な光景とはまた異なり、武甲山をはじめとする秩父の山々を望める。
岩井堂は江戸時代中期に山の斜面をうまく利用して建てられた優れた建築で、三間四面に大屋根がつき、方形屋根二重垂木、三方勾欄をめぐらした朱塗り舞台で、回廊が回され唐戸がつけられている。
唐戸には菊・牡丹・蒲などが彫られているのも美しい。

また、秩父26番札所の見どころとしては、埼玉県文化財にも指定されている烏山石燕作の景清牢破りの扁額や石燕の門人石中女が13歳のとき描いたと伝わる紫式部石山寺秋月の図の絵馬も見逃せまい。
明和元年(1764年)に江戸の護国寺で執り行われた秩父三十四観音総出開帳の折に奉納されたと伝えられている。
景清牢破りの扁額は、景清が源頼朝を討とうとして捕らえられ、牢に繋がれたものの、牢を破って逃げ、数奇な運命をたどった生き様を表現した絵馬で、浄瑠璃や歌舞伎などでも題材になっているものだ。

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万松山 円融寺の歴史

万松山 円融寺は畠山重忠の祖父の代より信奉されており、重忠は特に信望が厚く、多くの霊験を受けたとの言い伝えが残されている。
岩井堂につながる道や周囲の険しい自然からも想像できるように、秩父修験道の修験者たちは、この険しい道を1日に何往復もしては、武甲山頂を拝し、両神山を拝んで、邪心を取り去る修行を行っていた。
修行を極めると江戸などに出て、修験道の普及に努めた。
断崖の上に建つ舞台造りの岩井堂へは、秩父で人気の琴平ハイキングコースをたどっていくことも可能だ。
琴平ハイキングコースは春には桜や芝桜の名所ともなる羊山公園から影森まで、秩父市街の南に連なる琴平丘陵の尾根道をたどるコースで、琴平丘陵の尾根を歩きながら、秩父札所をたどる岩井堂や護国観音を経由して27番札所の大渕寺まで足を運べるコースだ。
琴平神社の石段を登っていくことで、神社の奥の院をめぐって岩井堂へとたどり着ける。

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