渋谷区短大生切断遺体事件の現場を探ってきた。場所は甲州街道から一歩奥まった住宅地。
惨劇の舞台となった家は、一見何事もなかったかのように佇んでいる。
渋谷区短大生切断遺体事件が起きた場所を見てきた
2006年12月30日の午後、東京都渋谷区幡ヶ谷の歯科医院兼住宅にて。
歯科医師の両親と歯学部生の長男は帰省中で、予備校生の次男Yと短大生の長女Aが留守番をしていた。
会話の流れからAに「お兄ちゃんには夢がない」「歯医者になるのは人の真似だ」と言われて逆上したYは、洗面所にいたAを背後から木刀で殴ったうえ首を絞め、さらに浴槽に沈めて殺害。包丁とのこぎりで死体を切断し、ポリ袋4つに詰めて自室に隠した。
Yは両親と兄にならって歯科医になるべく歯学部を目指していたがうまくいかず3浪中、しかし勉強にはあまり身が入らずネトゲびたりだったという。
一方Aは短大に通うかたわら「女優になりたい」と芸能事務所に所属し、舞台やVシネマに出演するなど研鑽を積んでいた。
2007年1月3日夜、帰省先から戻った家族が異臭に気付き警察に通報。
翌4日に死体損壊でY逮捕、15日には殺人容疑で再逮捕。
2009年、懲役12年の刑が確定。現在はすでに出所しているということである。
渋谷区短大生切断遺体事件の現場
甲州街道から少し奥に入ったところにある。
1階が元医院。現在は虚無の空間。
上階には家族が住んでいる様子。道路に面した2階の窓に貼られた目隠しが不穏かつ痛々しい。
現役で歯学部に合格した長男は幡ヶ谷駅近くで独立・開業している。
「歯科医師」で結束した家族からAだけが八重歯のようにはみ出し、引き抜かれたような印象の事件である。