淡路島5人刺殺事件が起きた場所を見てきた

淡路島5人刺殺事件が起きた場所である兵庫県洲本市にある中川原に行ってきた。
集団ストーカーという被害妄想を抱いた犯人による大量殺人事件の舞台とは一体どのような場所なのだろうか?

淡路島5人刺殺事件が起きた場所を見てきた

淡路島5人刺殺事件は2015年3月9日兵庫県洲本市中川原町中川原の集落で起きた大量殺人事件だ。

犯人の男(当時40代)は高校3年生の時に中退して以降は実家で引きこもり生活を送っていたが、精神刺激薬「リタリン」を長期間服用した副作用により薬剤性精神疾患となる。これにより偏執的な被害妄想を抱くのだった。

犯人は事件前からインターネット上で「日本国政府が自分に電磁波攻撃をしている」などと陰謀論を主張、被害者の近隣住民に対しても「集団ストーカー犯罪とテクノロジー犯罪の常習犯」として誹謗中傷を繰り返していたのだった。

男は淡路島内だけでなく明石市内を含めて精神科病院への入退院を繰り返していたが、一事件発生直前の2015年1月ごろに現場集落に戻る。しかし、退院後は行政機関・医療機関などの関係機関は転居先を把握しておらず、適切な治療が中断されていた中で起きたのが本事件なのだ。

ルポ

という訳で淡路島5人刺殺事件の現場にやってきた。ここが兵庫県洲本市の中川原町中川原。

「山あいの静かな集落」「地域のつながりが深い場所」「外部からの移住者が少ない」といった典型的な日本の農村がそこに広がっている。

津山事件の現場ほどではないが山を切り開いてつくられた僅かな土地に築かれた畑と民家、空を見上げれば山が映り地平線は見えない。他所からの移住者は殆どいないので住民の大半が住人は殆どが顔見知り。

なお被害者5人は犯人と同姓だが親戚関係ではなかったとされるが、いずれにせよ人間関係が狭い町である事は容易に想像がつく。人間関係が変わらない農村で何十年も引きこもれば精神状態は悪化していくだろうな。

この事件で特徴的なのは精神疾患による被害妄想によって引き起こされたという点だ。「集団ストーカー」「電磁波攻撃」といった、ネットでは目にすることが多いワードがズラリと並んでいるが、犯人は療養中に精神刺激薬であるリタリンを長期間服用していたが、大量長期間摂取し続けると、統合失調症に酷似した精神病状態を呈することがあるという。

薬剤の影響がどこまで犯行に影響を与えたのかは定かではないが、過去に精神疾患を患い大量殺人を引き起こした事件といえば、相模原の障害者施設連続殺傷事件がある。

それでは凶悪事件における精神障害者の割合はどれぐらいになるのだろうか?

令和2年版の犯罪白書によると、次のように報告されている。

同年における刑法犯の検挙人員総数のうち,精神障害者等の比率は,1.0%であったが,罪名別で見ると,放火(15.2%)及び殺人(9.8%)において高かった。

第9章 精神障害のある者による犯罪等 令和2年版 犯罪白書 第4編/第9章/第1節

表を見る限りでは最も多いのが傷害となっているが、年間の精神障害者の犯罪検挙数は全検挙数の約0.6%程度で 精神障害者の数が全人口の約2%であることからすると、精神障害者の犯罪率はむしろ一般より低く一般刑法犯のなかに占める精神障害をもつ者の割合は決して高い訳では無い。

で、あるにも関わらず精神障害と凶悪犯罪を連想してしまうのは、我々の偏見と無知、メディアの報道によるものかもしれない。

しかし、そうは言っても被害者遺族の立場を考えれば、精神障害を理由に刑が減刑されるというのは釈然としないのも事実。

現に淡路島5人殺害事件の加害者は2021年に心神耗弱状態を理由に一審の死刑判決が棄却され無期懲役となっている。これでは遺族も浮かばれないと言うものだろう。

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