プロティノスとは西洋古代末期を代表する哲学者。新プラトン派の創始者でもあるが、一方で神秘主義哲学者として後に西洋オカルティズムの源流となった人物。
西洋オカルティズムの源流・プロティノス
プロティノスは、西洋古代末期を代表する哲学者で新プラトン派の創始者。
神秘主義的傾向が強かったことから後世の神秘主義者達に強い影響を与えた事から、西洋オカルティズムの源流のひとりになった人物でもある。
プロティノスとは何をした人物か?
・新プラトン主義(プラトン哲学と新ピュタゴラス主義,アリストテレス主義,ストア主義等を折衷総合した哲学)の創始者
・新プラトン主義自体が神秘主義的傾向が強いことから西洋オカルティズムの源流のひとつにもなった。
プロティノスの経歴
205年にエジプトに生まれたプロティノスは、28歳のときにアレクサンドリアで神秘主義哲学の祖といわれるアンモニオス・サッカスに出会い、彼のもとで10年ほど哲学を学ぶ。
当時のアレクサンドリアでは、エジプト以外にもペルシアやギリシアの密儀や宗教など、東西の諸文化が混ざるする、地中海世界最大の文化都市でもあった。
だが、プロティノスはこの地で古来の密儀宗教や新興のキリスト教を信仰するのではなく、ギリシアに始まる哲学を通じて魂の救済を望んだのだった。
プロティノスと神秘体験
プロティノスが40歳のときの話である。ローマにて学舎を開き日々を過ごしていたある日、訪れたイシスの神官がプロティノスの守護霊を呼び出そうとしたことがあった。
しかし、呼び出されたのは守護霊には属さない神であり、神官いわく「神を守護霊として持ち、下級ののものには付き添われていない」という。
その時に現れたプロティノスの神とは,世界(万有)の基体「一なる者(ト・ヘン)」という概念。
この体験以降、彼の生涯の目的は、「万有の上にある一なる者に近づき、合一すること」になったが、弟子によれば生涯に四度、その合一を目撃したという。
なぜ西洋オカルティズムの源流になったのか?
この合一こそ、神秘体験でいうエクスタシーであった。しかし、そこに達するのは自覚的な知においてである。
プロティノスは「常に目覚めている人」であったと伝えられている。
これにより、神秘思想は新たステップを迎えることになる。
秘儀や密儀といった外的手段に頼ることなく、神への憧れを自覚し、自らの魂を知的に高めていけば、より高い神秘体験があると考えたのである。
これによって、彼の哲学は新プラトン主義として神秘主義のルーツとなり、後世の神秘主義者達に影響を与えていくことになる。