ジェネシス・P・オリッジサイキックTVの創設メンバーにしてオカルティスト、宗教団体の創始者という異端すぎる経歴の持ち主。
ジェネシス・P・オリッジ

ジェネシス・P・オリッジはイギリスのバンド、サイキックTVのメンバーで担当はVo.
インダストリアル・ミュージックのパイオニアの一人である。
一方で黒魔術や性魔術に傾倒していた他、新興宗教団体テンプル・オブ・サイキック・ユースの創始者となる。
性転換手術を行い、性別はサードジェンダーを名乗った。
サイキックTV

サイキックTVは実験的なインダストリアルミュージックのグループ。音楽だけでなくビデオアート集団としての側面も持っている。
サイキックTVの代表曲である「GodStar」
とりわけ、60年代のサイケデリックなカウンターカルチャーの要素が詰まった作品になっている。見る人によってはひと目でお腹いっぱいになること請け合い。
宗教団体テンプル・オブ・サイキック・ユース

とりわけジェネシス・P・オリッジのエピソードで特筆すべきなのが、宗教団体テンプル・オブ・サイキック・ユースの創設(1981)だ。
黒魔術や性魔術と芸術表現を融合した自己変革を目的とした団体で、英国のブライトンに本拠地が置かれた。
設立から90年代初頭にかけて10,000人の信者を擁する国際的なネットワークとなり、若者達のカウンターカルチャーとしての地位を確立。
当初は好事家の集りによるフェローシップ的団体と思われていた様だ。
しかし、コージー・ファニ・トゥッティによる回顧録『Art Sex Music』(Faber & Faber, 2018)によれば、かなりメチャクチャなセックスカルトであったようだ。
(ファニ・トゥッティとP・オリッジはパフォーマンスアート集団COUM Transmissions(1969-76)を共同設立した人物)
その内容とは、ファニ・トゥッティへのセックス強要や望まない妊娠、オリッジが企画した乱交パーティに参加するよう迫り、関係を終わらせようとする彼女への暴力、ペットの猫を壁に投げつけたり、ファンレターをこっそり開いて返信したり等々のエピソードが数多く挙げられている。
出典:GROUPTHINK AND OTHER PAINFUL REFLECTIONS ON THEE TEMPLE OV PSYCHICK YOUTH
こうした活動に目をつけられたのか、オリッジはイギリスより国外退去処分となりアメリカはニューヨークに移住。
以後も細々と活動を続けたが2020年3月14日にニューヨーク市で70歳で死去する。