ローマ帝国の歴史を描いた本や映画を時系列順にまとめた

ローマ帝国の歴史を描いた本や映画を時系列順にまとめた。この記事が読めば、ローマ帝国の栄枯盛衰の流れがひと目で分かる!

ローマ帝国の歴史を描いた本や映画を時系列順にまとめた

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「ローマ帝国の歴史についておすすめの本を紹介して」というのが元々のご依頼だったのですが、いまさら私があれこれ語ることもないよなあ...と参考文献をひっくり返しているうちにできたのがこの年表です。

ローマ帝国の歴史の流れを知るための最初の本5冊+α

ローマ帝国が形式的にでも「ローマという都市」をアイデンティティとしていた時代を取り上げました。

①ローマはなぜ滅んだか 弓削達 講談社現代新書

②生き残った帝国ビザンチン 井上浩一 講談社学術文庫

③ローマの歴史 インドロ・モンタネッリ 中公文庫

④ローマ帝国衰亡史 エドワード・ギボン ちくま学芸文庫

⑤ローマ人の物語 塩野七生 新潮文庫
Ex. 詳説世界史研究 山川出版社
Ex. 詳説世界史図録 山川出版社

書籍の紹介としては、参考文献①〜③が手軽で簡潔、この3冊を読んでおけばローマ帝国ネタはなんとかなります。

④は時間と根性のある方、ぜひチャレンジしてください。私はコンスタンティヌス大帝あたりで歴史が止まっています。

⑤は共和制ローマから東ローマ帝国滅亡まで、いわば全ローマ史を扱った唯一の作品とのこと。文庫がやたら薄っぺたの細切れになっているのは、通勤時間に読みたいお父さん達の便宜のためと思われます。

ローマ帝国の歴史を描いた作品を時系列順に並べてみた

  BC27〜AD14 アウグストゥス カエサルの娘婿 共和国から帝国へ

  14〜37 ティベリウス すなわちナザレのイエスが活動した時代

『ベン・ハー』

1)小説 1880年 ルー・ウォーレス著 アメリカで200万部売れた当時のベストセラー

2)映画 1959年版が有名 アカデミー賞11部門をかっさらう

  悪くはないけど、イスラエルのプロパガンダぽくないですか?

『サロメ』

1)オスカー・ワイルドによる戯曲 1891年 鷗外から平野啓一郎まで邦訳多数

 ビアズレーによる挿絵も名品 

2)リヒャルト・シュトラウスによる楽劇 1905年 1幕ものなので開演時間に遅刻すると入れてもらえない

『イエス伝』1863年 エルネスト・ルナン 岩波文庫

’神の子’イエス・キリストではなく、’人の子’ナザレのイエスの評伝

磔刑で死んでいなかったら、中東のブッダ的な哲学者・宗教家になっていたかもしれない

  37〜41 カリグラ 愛馬を元老院議員に推したのはあてつけの冗談だったらしい

  41〜54 クラウディウス 半ボケ色ボケだけど歴史に詳しいおじさん

  54〜68 ネロ 母親アグリッピーナはいわゆる毒親ではないのか

『クオ・ヴァディス』

1)小説 1896年 ポーランドのノーベル賞作家ヘンリク・シェンキェヴィチの作品 邦訳は岩波文庫で全3巻

2)映画 1951年 「暴君ネロ」のイメージはここから始まった、とも

3)コミック 絵面がベタベタの少女マンガで、意外だけど女子パウロ会が出している

『プリニウス』 ヤマザキマリ+とり・みき 新潮社

最新第11巻 ローマ大火の後、セネカは死を賜り、皇后ポッパエアは身罷り、ネロは自殺。 

一方、ヒスパニア・タラコネンシス総督ガルバがアップを始めた模様

  68〜69 <内乱>ガルバ→オト→ヴィテリウス 

  69〜79 ウェスパシアヌス 「皇帝は立って死ななければ」と言って死んだ

*この頃、マルコ福音書まとまる

  79〜81 ティトゥス 相次ぐ災害への対応に駆け回った末に在位2年、40歳で病没

『私のプリニウス』1993年 澁澤龍彦 河出文庫

ガイウス・セクンドゥス・プリニウス(上記『プリニウス』の主人公)による『博物誌』(全38巻)のいいとこ取りダイジェスト。原典は天文、気象、地理、動植物、鉱業農業、美術工芸、医学薬学…を網羅した一大百科事典。邦訳あり(『プリニウスの博物誌』雄山閣)

自身の見聞というより、各地の伝承、風聞、先人の記録を主に収録編集しているあたり、実は『遠野物語』の地域・項目拡大版かもしれない

  81〜96 ドミティアヌス 先帝の実弟、元老院にはえらく評判が悪い

*この頃、ルカ福音書とマタイ福音書まとまる

*次いでヨハネ福音書とヨハネ黙示録まとまる

  96〜98 ネルウァ 先帝暗殺の直後に元老院の推挙で即位

  98〜117 トラヤヌス 帝国の領土が最も広がった時代

『古代ローマ帝国軍 非公式マニュアル』2009年 フィリップ・マティザック ちくま学芸文庫

史上最強のローマ帝国軍に入隊できる⁉ 軍隊だけでなく、ローマに関わる話の諸々が俄然面白くなる一冊。

ふざけているようで実はこれまでの調査研究の成果が凝縮されているのではないかと。

著者はケンブリッジ大学成人教育校の教官

  117〜138 ハドリアヌス 「文人皇帝」

『テルマエ・ロマエ』ヤマザキマリ エンターブレイン

その頃、極東の平たい顔族は「漢委奴国王印」とかやっていた

最後でアントニヌス・ピウスが即位している

『ハドリアヌス帝の回想』1958年 マルグリット・ユルスナール 白水社

小説なんだけど、ノンフィクション的な肉声感と臨場感にあふれ、自伝か同時代の評伝ではないことが逆に奇異に思える。Uブックスでも出してほしい

  138〜161 アントニヌス・ピウス 「善人皇帝」

  161〜180 マルクス・アウレリウス 「哲人皇帝」『自省録』の人

  180〜192 コンモドゥス ↑の不肖の息子

『グラディエーター』2000年 リドリー・スコット監督

父帝は息子に殺されてるけど、実際は病死だった模様。息子を冷遇していたわけではなく、むしろ溺愛していた。

我が子に帝位をゆずるのは確定事項。

また、息子は闘技場でかっこよく死んでいるけど実際は暗殺された。そして実際に剣闘士ごっこが趣味だった

  192〜193 <内乱> ペルティナクス→ディディウス・ユリアヌス、他僭帝2名

  193〜211 セプティミウス・セウェルス 初のユダヤ系アフリカ人皇帝、占星術が大好き

『古代ローマ旅行ガイド』2007年 フィリップ・マティザック ちくま学芸文庫

絶対に『る●ぶローマ』よりも面白いし、ローマに行きたくなる。

そして実際に行ったときには何かと有益なはず。そこが現代のローマであっても。

  211〜217 カラカラ(&ゲタ) 兄弟の共同統治のはずが兄貴が独占してた

  218〜222 ヘリオガバルス フェニックスの脳みそを召し上がりたかったそうです

デカダン少年皇帝」『異端の肖像』より 1967年 澁澤龍彦 河出文庫

『ヘリオガバルス 戴冠せるアナーキスト』1934年 アントナン・アルトー 河出文庫 

アナーキーとかデカダンとかいうよりも、生きるネタというかひとりポトラッチというか…

変人に権力と資金を持たせると良くも悪くもこういうことが可能になる、という見本

  222〜235 アレクサンデル・セウェルス まともすぎて軍に殺られる

  235〜268 <内乱> 軍人皇帝時代 「3世紀の危機」

  284〜305 ディオクレティアヌス テトラルキア(帝国の四分統治)とドミナートゥス(専制君主制)はじめました

  305〜312 <内乱> セヴェルス対マクセンティウス対マクシミアヌス対リキニウス対コンスタンティヌス対マクシミアヌス・ダザ

  312〜337 コンスタンティヌス ”大帝” キリスト教公認(313年)とコンスタンティノープル遷都(330年)

  337〜361 コンスタンティウス 先帝の息子3人による血で血を洗う後継争いの勝者

  361〜363 ユリアヌス 世の中のキリスト教化に抵抗しつづけたので「背教者」の異名を負う

『背教者ユリアヌス』1972年 辻邦生 中公文庫

小説として”盛っている”ところはあるとしても、ユリアヌスの「魑魅魍魎の巣窟に投げ込まれた仙人」感には同情を禁じ得ない

そしてニコメディア大司教エウセビウスがすばらしく嫌なヤツで、こんなのが身近にいたら坊主憎けりゃ袈裟まで憎くなるのも当然である

  363〜364 ヨウィアヌス ユリアヌスが戦死し、陣中で突如担ぎ上げられた  

  364〜375 ヴァレンティニアヌス(ローマ)+ヴァレンス(コンスタンティノープル)←実の兄弟

  375〜383 グラティアヌス&ヴァレンティニアヌス二世(←異母兄弟)+ヴァレンス

  383〜395 ヴァレンティニアヌス二世+テオドシウス

  395 東西分裂 ホノリウス(西ローマ帝国)アルカディウス(東ローマ帝国)←テオドシウスの息子たち

<ゲルマン系民族が西側で暴れまくる>

403 ラヴェンナ遷都

410 西ゴート族のローマ略奪

476 西ローマ帝国消滅

Roma!Legio,Aeterna,Aeterna,Victrix!

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