帝冠様式建築の建物を見るため中国に留学した話。

帝冠様式建築をご存知だろうか?これは大正時代から昭和戦前にかけて主に官公庁舎を中心にデザインされた簡単に言えば洋風建築に屋根瓦を乗せた和洋折衷の建築様式の事だ。

洋風建築に和風屋根⁈中国に帝冠様式建築の建物を見るためにわざわざ留学名目で行った話。

帝冠様式の代表例「九段会館」
帝冠様式の代表例「九段会館」

1919年に国会議事堂のデザインで洋風の建築物に屋根瓦を乗せるデザインが議会で提出されたのが始まりとされている。

その後公的機関の施設のデザインに採用されるようになったが日中戦争に突入し、資源不足により衰退。さらに戦後は九段会館をはじめとする軍部施設に採用された背景もありファシズムの象徴とされた歴史のあるデザインだ。

帝冠様式の例その2愛知県庁
帝冠様式の例その2愛知県庁

この帝冠様式といえば2011年の東日本大地震で天井が落下し、現在は改修工事中の九段会館。愛知県庁などがあるがこの帝冠様式の建物は同時期に1932年に日本の傀儡国家であった満州国で多く建設された。

帝冠様式目当てに留学した時の話

2022年2月5日に冬季北京オリンピックが開催し、その開会式を見ていた時に中国へ2017年に短期短期留学の名目でこの変わったデザインである帝冠様式の建物を見に行った事を思い出したので紹介していこうと思う。

長春空港
長春空港

2017年3月13日成田空港を出発し、上海浦東空港で飛行機を乗り換え長春の空港に着いたのは20時頃だった。

日本の地方空港は夜でも比較的明るいが中国となると真っ暗で中国東北部最大の都市とはいえまだ発展途中だと思った。

「社会主义新农村」は毛沢東時代の中国をイメージした料理店で人民服を着たウエイトレスが対応してくれると説明を聞いた。正直そこに行きたかったと今でも思う。
「社会主义新农村」は毛沢東時代の中国をイメージした料理店で人民服を着たウエイトレスが対応してくれると説明を聞いた。正直そこに行きたかったと今でも思う。
中国の郊外らしい無機質な高層住宅
中国の郊外らしい無機質な高層住宅

これが翌日に歩いた街並みの写真である。私が語学研修でお世話になった大学は長春の駅から8キロほど離れた郊外にあり、そこで生活をすることとなり、まずその周辺を歩いた。

長春市の町並み
長春市の町並み

同じく街並みの写真。ここまで郊外なのにもかかわらず高層住宅が建ち並ぶ中国に成長力を感じた。

豊洲のタワーマンションが持て囃されているが中国ではこれくらいの高層住宅は当たり前なんだと確信した。

長春市の町並み3

だいぶ話が逸れてしまったがしばらくはその大学にほぼ缶詰状態で中国語の講座を受け、自由時間も取れたことからその帝冠様式の建物を見に行く事にした。バスに乗りまずは長春駅へ向かう。

長春市内のバス
長春市内のバス

とにかくどのバスに乗っても運転が荒いのが印象的だった。そのわりには老人がいたら席を譲る人がいたり車内のスピーカーからは乗客を退屈させないように中国の昔話が流れておりその運転の荒ささえ気にならない中国の人たちの優しさを感じた。

長春駅

そして長春駅に着いた。西口側はこのようにバスがひしめき中国の人口の多さと昔ながらの建物がある。

長春駅
長春駅

こちらは北口の画像。北口はショッピングモールが立ち並び再開発中であり、また2017年の2月に滞在していたが6月30日から南北を貫く地下鉄の開業を控えており活気と近代さを感じた。

長春は日本で言う仙台と同じようなポジションだと思った。

開発中の長春駅
開発中の長春駅

そして長春駅から長春電気軌道3号線に乗り換え、解放桥駅で降りる。ここがバス以外での最寄りである(なお、1.3キロほど離れてる)今は地下鉄も出来てアクセスは格段に良くなってるはず。
そして解放桥駅から解放大路を歩く。

解放大路
解放大路
解放大路
解放大路を歩く

中国の帝冠様式

解放大路はとにかく広く私は1.3キロという少し長い距離も苦にならないほど新鮮味があった。

中国の帝冠様式「吉林大学白求恩第一医院」
中国の帝冠様式「吉林大学白求恩第一医院」

そして歩いているとその帝冠様式の建物が現れた。

これが私の見たかった日本が満州国という傀儡国家を作った際に建設した旧満州国軍事部の建物である。九段会館も別名は軍人会館であり戦後帝冠様式の建物がファシズムの象徴と言われたのも無理はない。

現在は「吉林大学白求恩第一医院」つまり大学病院となっている。

この白求恩というのはノーマン・べチューンというカナダ人医師の名前であり、共産党員として中国近代医療に貢献したことによりその名が付けられているそうだ。

「吉林大学白求恩第一医院」
「吉林大学白求恩第一医院」

別の日に訪れた写真である。(初日は時間の関係で逆光になっていたので)日本の傀儡国家である満州国の軍事部だった施設に中国国旗が掲げられている。軍事的施設が今は医療施設として機能している。

吉林大学白求恩第一医院の内部
吉林大学白求恩第一医院の内部

内部をもっと見たかったのだがどこも身体に異常はないのでエントランスしか見れなかったが内部は豪華な作りをしていると思った。

吉林大学白求恩第一医院
吉林大学白求恩第一医院

写真に収まりきらない大きさである。

満州国の旧国務院
満州国の旧国務院

そしてその向かい側には帝冠様式ではないが満州国の旧国務院つまるとこ政治を司る建物が今でも残っている。訪問当時は改修工事中でまた行きたいと思った矢先にコロナウイルスが流行してしまった。

吉林省中国共産党委員会の建物
中国の帝冠様式「旧関東軍司令部」

そして1キロ先にはこれも日本が建設した帝冠様式の建物がある。この建物は満州国駐留していた関東軍司令部の建物であり現在は吉林省中国共産党委員会の建物であり、写真を近くで撮ろうとしたら注意を受けるので訪問の際は気をつけたほうがいい。

中国吉林省に残る満州国時代の帝冠様式という変わった建物を今回は紹介したがどうだったか?韓国の朝鮮総督府の建物は戦後解体されたが満州国の建物は再利用されている。

満州国時代を残す歴史的建物であり、戦争の中国からしてみれば屈辱的な建物であるはずだがこのようにして今でも残っている。

上海や北京は観光地であり日本人も多いが次に中国への旅行を考えている人は吉林省長春はどうだろうか?

今は地下鉄も通り、さらに発展をして紹介した建物へのアクセスも格段によくなっているはずである。

そして何よりこの長春はまだまだ成長途中であり満州国時代から昔の中国、そして今の中国の建物が混在している。

これほどまでに見応えのある都市は無いと思う。中国の近代史を学び、文化に触れたいなら次は吉林省長春をおすすめする。

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